介護職の賃金の問題はよく取り上げられるものですが、そもそも他産業と比較するのは難しいことです。
介護業界は、ここ20年で発展してきた産業であり、勤続年数が10年未満という人が8割を超えています。
また、平均年齢や男女の比率、介護職員の学歴などから割り出される賃金をそのまま他産業と比較するのは困難とも言えるでしょう。
とは言え、介護職の賃金が決して高いとも言えないのも事実です。
国は、介護職の待遇をよくしようと改善をかさねている最中です。
「介護職は給料が安い」というイメージが一般の人にまで定着しているのが現状ですが、2009年以降は着実に賃金の改善は行われています。
例えば、介護老人福祉施設で働く人は、平均年齢がおよそ39歳で、平均勤続年数は8年、月額の給与平均はおよそ33万円です。
他の介護サービスを提供する事業所と比べても賃金は高い傾向にありますが、最も低い認知症対応型共同生活介護を行ういわゆるグループホームでも、平均年齢が45歳、勤続年数の平均は7年で、月額平均はおよそ28万円まで改善されています。
さらに、国は消費税を元手とした新たな賃金の仕組みを作り上げており、2019年10月からはどの施設で働く介護職であっても、経験や技能のある勤続年数が10年以上の介護福祉士を中心に月額8万円程度の賃金改善が行われました。
これは、今後キャリアを積み重ねていけば給与は上がるというモチベーションにもつながるものです。
他の産業と比較しても、遜色のない賃金水準を実現できるようになってきています。